その檻の名を、主観と呼ぶそうだ。


君と僕の視界には 色のずれた水平が流れて
誰が本当の色など 知っているだろうか

シャボン玉の中で 息をするよ
――逃れられないまま――
生まれながらに囲まれて 虹色に濁らせた

ひたすら目を凝らして 寂寞に身悶えて
世界は一つになれない

泡沫の干渉が 歪む光景見せる
その壁も破れずに くず折れた

君と僕の境には 音のずれた嘆きの風が吹く
隙間風の一つまで 僕は愛せるのか

不協和音 止むを得ない現象
―捉えられないなら―
別の音叉を手にして 調律を狂わせた

幻想掻き鳴らして 広漠に見失う
ユニゾンなんて望まない
三度の間隔で 共に歩めたなら……
溜息は単/短調に 沈みゆく

知ることの叶わない 君の世界をなぞり
混ざり合うことのない その場所に焦がれ
復号と符号化の 不確かな触れ合いの果てに

温もりだけを知る

共鳴繰り返して 確証は投げ捨てて
手探りだって構わない

それでも知りたくなる
「君の環世界では、白浜の暮れ合いは綺麗ですか?」